駅前商店街のはずれ、赤い鳥居が並んでいるあたりに、夕暮れになるとあらわれる不思議なコンビニ「たそがれ堂」。大事な探しものがある人は、必ずここで見つけられるという。今日、その扉をくぐるのは...?慌しく過ぎていく毎日の中で、誰もが覚えのある戸惑いや痛み、矛盾や切なさ。それらすべてをやわらかく受け止めて、昇華させてくれる5つの物語。

一瞬だけでいい。
一瞬だけでいいから、もう一度、あの頃へ還りたい。
子どものころに大切に持っていた思い出。
大人になった今、記憶のタイムカプセルを開ける時が来た。
この世界の中で起こった奇跡は、春の風となって永遠に残る。
居なくなってしまったあの人の、後ろ姿を見たような気がしたから。
この世界で手に入れた、愛しい思い出たちは、抱かれて静かに息づいている。
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素敵ですね!
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風早の街でひと夏を過ごすことになった少女・瑠璃は、夢に導かれて訪れた洋館でクラウディアという謎めいた女性と出会う。彼女は本の修復や造本をするルリユール職人、どんなに傷んだ本でも元通りにできるという。ぼろぼろになった依頼人の本を、魔法のような手わざで綴じなおすクラウディア。あるいはそれは本当に魔法なのか。その手伝いをするうちに、瑠璃のなかに秘められていた悲しみも修復されていく。本を愛するひとたちの美しく不思議な物語。

傷ついた本たちを美しい姿に変えられる、赤髪の神秘的な雰囲気を持った魔法使い様へ。私達がいつまでも物語を愛し、次の世代へ受け渡せるよう祈っていてください。貴方がずっと美しい本を作り続けていることを願います。
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ささやかな魔法があるのなら、昔の自分に何を言い残すのだろう。欲しくても手に入らなかったものや、壊してしまったものは、どうして思い出のなかでも美しいのだろうか。

もし魔法があるのなら、この世界に光と安らぎをもたらしてほしい。
人魚の薬が人々を不思議な力で癒すように、言葉では解明できない奇跡を与えてもらいたい。

悲しみはすぐには癒えないけれど、永遠には続かない。
暗い泡の底から光を求める手は、
星のように今日も瞬く。

ひとりぼっちだなんて言わないで。
目を凝らせばささやかな魔法が、
数え切れないほど見つかるから。
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まるで魔法でした。どのような困難が生じても清らかな心で奇跡を信じていれば必ずきっかけは訪れることでしょう。神の遣いが残した透明な鱗を拾い、虹の翼の天使に遭遇し、ステンドグラスのように輝く万華鏡を見つけ、優しい人魚姫の宝を授かるように。
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