魔物のはびこる夜の森に、一人の少女が訪れる。額には「332」の焼き印、両手両足には外されることのない鎖、自らをミミズクと名乗る少女は、美しき魔物の王にその身を差し出す。願いはたった、一つだけ。「あたしのこと、食べてくれませんかぁ」死にたがりやのミミズクと、人間嫌いの夜の王。全ての始まりは、美しい月夜だった。―それは、絶望の果てからはじまる小さな少女の崩壊と再生の物語。第13回電撃小説大賞「大賞」受賞作、登場。

大切な人の子どもが産まれる。
たぶん今日、産まれる。
見たことない奥さんの子ども。
私にとって大切な人の子ども。
今日、私がゼミで発表してる間にたぶん産まれる。
とっても嬉しくて。
でも不思議で。
どうして私は知らない人の子どもが産まれることで、こんなに泣いてるんだろう。
嬉しくて嬉しくて仕方がなくて。
私にとってまったく関係ない命が、この先ずっと幸せであるようにとただただ祈ることをしたいと思いました。
なるだけ笑ってて、なるだけ喜んで、なるだけ幸せであって欲しいと思いました。
とっても可笑しい。
知らない人なのに。
でも、今の気持ちをこの先いつかまたきっと、いや絶対に、思い出したくて、ここにしるします。
よく知ってる夜の王様と、見たことないミミズクさんのお話。
きっとこの先も私と交わらない物語。
それが少しでもハッピーな色で彩られた日々でありますように。
桶の中の花の絵だけを愛でる日々が終わったとしても、
春が来たらまた花が咲くんだよ、ねえ、先生。
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誰にでも、失いたくない楽園がある。息苦しいほどに幸せな安住の地。しかしだからこそ、それを失うときの痛みは耐え難いほどに切ない。誰にでも優しいお人好しのエカ、漫画のキャラや俳優をダーリンと呼ぶマル、男装が似合いそうなオズ、毒舌家でどこか大人びているシバ。花園に生きる女子高生4人が過ごす青春のリアルな一瞬を、四季の移り変わりとともに鮮やかに切り取っていく。壊れやすく繊細な少女たちが、楽園に見るものは―。

あの時甘ったるい一瞬を過ごした仲間たちは
仮令先の人生でずっと親交があったとしても
まったく別の生き物なんだろう
運命共同体ってやつ?
煙草吸いながらそんなこと思ってもね
二度と戻れないから失楽園なのであって
みんなさよなら、さよならバイバイって
そして人生は続く
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詩人の死の謎を追う僕の孤独な探偵行 気鋭が描く謎と祈りの物語 とある地方都市で、「将来的に、詩を書いて生きていきたい人」が参加条件のSNSコミュニティ、『現代詩人卵の会』のオフ会が開かれた。互いの詩の合評を行い、現代詩について存分に語り合った九人の参加者は、別れ際に約束を交わした。「詩を書いて生きる志をもって、それぞれが創作に励み、十年後に詩人として再会しよう」と。しかし約束の日、集まったのは五人。ほぼ半数が自殺などの不審死を遂げていた。なぜ彼らは死ななければならなかったのか。細々と創作を続けながらも、詩を書いて生きていくことに疑問を抱き始めていた僕は、彼らの死にまつわる事情を探り始めるが……。生きることと詩作の両立に悩む孤独な探偵が、創作に取り憑かれた人々の生きた軌跡を辿り、見た光景とは? 気鋭の著者が描く初のミステリ長編。

死した詩人たちの詩を基に、彼らの死に迫るミステリー小説。
『詩を書いて生きるとは何か』そんな疑心にも似た疑問を抱きながら、それでも詩を書き続け、そして死した詩人達の死因を探る主人公。
その、たくさんの苦悩と絶望に襲われながらも、もがき抗うようにその先にある『答え』を求める姿に、被るものがあった一曲。
始終鬱蒼とした雰囲気を持つ小説とは全く真逆の雰囲気のハードロックソングですが、そのミスマッチさもまた、この主人公の持つ、もがき苦しむさまにはもってこいの、ちぐはぐさを感じました。
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