阿部和重
シンセミア(上) (講談社文庫)
20世紀最後の夏、平凡な田舎町だったはずの神町に怪事件が続発する。高校教員の突然の自殺、走り屋の不可解な事故死、ヌード写真を集める老人の失踪。その背後には裏社会を支配するパン屋とヤクザの存在があった……。産廃処分場設置をめぐって二分される市議会、盗撮にふける自堕落な若者たち、制服を隠れ蓑に女子小学生を見守る警官――次々に登場する俗にまみれた人々の陰謀と欲望が暴走し、神町は混乱の渦に巻きこまれていく。毎日出版文化賞、伊藤整文学賞をダブル受賞した傑作長編。