阿部和重
アメリカの夜 (講談社文庫)
「重要なのは、いつおこるともわからぬ闘争へむけて自身を鍛えぬくことだ」 文学の最前線を疾走する芥川賞作家・阿部和重のデビュー作、ついに電子化! 映画学校出身の若者・中山唯生(ただお)は、フリーター生活を続けながらブルース・リーが生み出した武道・截拳道(ジークンドー)の修練に励んでいた。 あるとき彼は、映画学校時代のライバル・武藤が撮った自主制作映画に映っていた女優・ツユミの姿に心を奪われてしまう。 武藤の新作映画でツユミと共演することが決まった彼は、役作りのためによりいっそう過酷な訓練で身体を鍛え、意識を高めていく。 そしてついに訪れた撮影当日、驚愕の事件が撮影現場を襲う! いったい撮影現場に何が起こったのか?? 愛に燃える唯生は無事ツユミと共演することができたのか!? プルースト、ディック、セルバンテス、大西巨人、そしてトリュフォー…… 文学と映画の膨大な引用とともに語られる、「特別な存在」を目指すすべての人のための物語。 第37回群像新人文学賞受賞作。