三浦綾子
銃口 (上)(小学館文庫)
昭和16年、竜太は想いもよらぬ治安維持法違反の容疑で勾留、7か月の独房生活の後、釈放された。坂部も同じ容疑で捕えられ釈放されたもののすでに逝くなっていたことを知り慟哭。芳子や家族に支えられ、ようやく立ち直った矢先に、召集の赤紙が届く。それは芳子との結婚式の直前だった。軍隊生活、そして20年8月15日。満州から朝鮮への敗走中、民兵から銃口を突きつけられる。そこへ思いがけない人物が現れて助けられ、やっとの思いで祖国の土を踏む。再会した竜太と芳子にあの黒い影が消える日はいつ来るのか―。