佐伯啓思
貨幣・欲望・資本主義
人間の欲望を衝き動かしているものが何であるかを論じることは、資本主義理解には本来不可欠なはずと言わねばならない。だが一体、それをどのように論じればよいのか。経済学がこの役割を完全に放棄している以上、この問題の糸口は、経済学ではなく、むしろ精神分析や哲学、心理学といった方面に求めざるを得ないであろう。本書では、きわめて不完全であることを承知の上で、ある種の精神分析や哲学的議論の助けを借りてこの問題にアプローチする。
人間の欲望を衝き動かしているものが何であるかを論じることは、資本主義理解には本来不可欠なはずと言わねばならない。だが一体、それをどのように論じればよいのか。経済学がこの役割を完全に放棄している以上、この問題の糸口は、経済学ではなく、むしろ精神分析や哲学、心理学といった方面に求めざるを得ないであろう。本書では、きわめて不完全であることを承知の上で、ある種の精神分析や哲学的議論の助けを借りてこの問題にアプローチする。