古川日出男
サマーバケーションEP (角川文庫)
学校には行かなかった。集団生活は難しい。僕には、人の顔がわからないんだ。だから匂いと声で、手を握って、人を見分けてる。20歳を過ぎ自由行動を許されて、井の頭公園にやって来た。冒険するために!公園の湧水は川となって高田馬場を、水道橋を流れ、御茶ノ水を通って隅田川に注ぎ、海に出る。神田川が終わるところを見るために、僕は、公園から海に向かって歩き出す。だってそれが、サマーバケーションだから。
学校には行かなかった。集団生活は難しい。僕には、人の顔がわからないんだ。だから匂いと声で、手を握って、人を見分けてる。20歳を過ぎ自由行動を許されて、井の頭公園にやって来た。冒険するために!公園の湧水は川となって高田馬場を、水道橋を流れ、御茶ノ水を通って隅田川に注ぎ、海に出る。神田川が終わるところを見るために、僕は、公園から海に向かって歩き出す。だってそれが、サマーバケーションだから。