古川日出男

アビシニアン

祖母の家の地下室で見つかった数千枚のレコードと十一冊のノート。記されていたのは、十七世紀アフリカに始まるある楽曲の、壮大な歴史。薫子は、運命に翻弄され世界を巡ったこの楽曲と、それを採取した風変わりな祖先の来歴を辿り始めるが―(「沈黙」)。キッチンカウンターの向こうの彼女に、ぼくは胸を焦がした。字の読めない彼女のために、ぼくは物語を書き始める。はかなく静かな恋愛小説(「アビシニアン」)。『アラビアの夜の種族』で日本推理作家協会賞、日本SF大賞を受賞した著者が繰り広げる、壮大で深遠な幻想世界。

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