永井荷風
下谷叢話 (岩波文庫)
絶対の存在であった文学上の師鴎外の死に続き、「わが青春の夢もまた消えにけり」という痛恨事、関東大震災が荷風を襲った。翌年、45歳の荷風は、幼い一時期を過ごした下谷の家、そこに住んだ母方の祖父鷲津毅堂やその周辺の、時代の潮流に背を向けた幕末維新の漢詩壇の人々を、大きな共感をもって描く。
絶対の存在であった文学上の師鴎外の死に続き、「わが青春の夢もまた消えにけり」という痛恨事、関東大震災が荷風を襲った。翌年、45歳の荷風は、幼い一時期を過ごした下谷の家、そこに住んだ母方の祖父鷲津毅堂やその周辺の、時代の潮流に背を向けた幕末維新の漢詩壇の人々を、大きな共感をもって描く。