小林泰三

日本の国宝、最初はこんな色だった (光文社新書)

実はカラフルだった大仏殿、ロウソクの下で蠢く地獄絵図...。学術的な根拠にもとづきながら、作品誕生当初の色彩に復元すると、作者の気持ちや時代の空気が見えてくる。さらに、デジタル技術で実物大のレプリカ作品を作り、ガラス越しでなく身近に作品と接してみよう。私たちは、往時の人びとの目線―屏風やふすま絵など、日常生活に美術を取り入れてきた伝統―を体感することができる。本書は「地獄草紙」「平治物語絵巻」、そして狩野永徳「桧図屏風」などの国宝作品を題材に、私たちの美術観・時代認識に修正を迫る意欲作である。

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