伊兼源太郎
事故調
志村市の人工海岸で、幼い男児が砂に埋まり意識不明の重体となるという痛ましい事故が起きた。回避できない事故と主張しようとする市に対し、世論は管理責任を問う。刑事から市役所への転職を経て広報課に勤める黒木は、経験と人脈をかわれて市長からの特命を帯び、被害者の家族や事故調査委員会の窓口役を任される。穏便に仕事を終わらせようと粛々と物事を進めていた黒木だが、届いた告発文から、事故には重大な見落としがあると気づいて―。実力派横溝賞作家が到達した人間ドラマの極北。静かに熱を帯びた男が、人工海岸陥没事故の真相究明に立ち上がる!