矢野隆
山よ奔れ
慶応元年(1865)。祇園山笠に命を賭ける「のぼせもん」たちは、いつもどおり祭りの準備に余念がない。一方、尊王攘夷派と佐幕派に藩論が二分した黒田藩では、筑前勤王党が起死回生を狙い、策を練る。追い山の英雄にして、町の人気者・大工の九蔵と、筑前勤王党の中心人物・月形洗蔵は、互いを友と認めつつ、どうしようもない隔たりも感じていた―。
慶応元年(1865)。祇園山笠に命を賭ける「のぼせもん」たちは、いつもどおり祭りの準備に余念がない。一方、尊王攘夷派と佐幕派に藩論が二分した黒田藩では、筑前勤王党が起死回生を狙い、策を練る。追い山の英雄にして、町の人気者・大工の九蔵と、筑前勤王党の中心人物・月形洗蔵は、互いを友と認めつつ、どうしようもない隔たりも感じていた―。