鮎川哲也
ブロンズの使者 (創元推理文庫)
弁護士の話を聞いた時から“三番館”のバーテンに教えを乞う心算だった。この件が手に余ることは判りきっている。しかし泡沫探偵にも五分の矜恃、バーテンの質問に調べていませんと答えるわけにはいかない。仕事に対しては鬼となるのが取柄の「わたし」だ、一朝事あらば甲羅を経た愛車に鞭打ち、月極逆旅で歓を尽すも手控えて精励恪勤。解決の美酒に酔えば、すべて世は事もなし。
弁護士の話を聞いた時から“三番館”のバーテンに教えを乞う心算だった。この件が手に余ることは判りきっている。しかし泡沫探偵にも五分の矜恃、バーテンの質問に調べていませんと答えるわけにはいかない。仕事に対しては鬼となるのが取柄の「わたし」だ、一朝事あらば甲羅を経た愛車に鞭打ち、月極逆旅で歓を尽すも手控えて精励恪勤。解決の美酒に酔えば、すべて世は事もなし。