鴻上尚史

ヘルメットをかぶった君に会いたい

1969年のヒット曲『風』が流れて、学生運動の映像が流れ始める。僕には、学生運動の初期の映像だということが分かる。連合赤軍事件や内ゲバにたどり着く前の、どこかのどかさが漂う映像。一人、ヘルメットをかぶった女性の顔がアップになる。どこか涼しげで聡明そうな顔。彼女は、視線を移し、口を動かす。「あっ!こんにちは!」のように読みとれる。その瞬間のはじける笑顔。僕は、彼女に会いたいと思った。ヘルメットをかぶったあなたに会いたい、と猛烈に思った。鴻上尚史、初の小説。

1969年のヒット曲『風』が流れて、学生運動の映像が流れ始める。僕には、学生運動の初期の映像だということが分かる。連合赤軍事件や内ゲバにたどり着く前の、どこかのどかさが漂う映像。一人、ヘルメットをかぶった女性の顔がアップになる。どこか涼しげで聡明そうな顔。彼女は、視線を移し、口を動かす。「あっ!こんにちは!」のように読みとれる。その瞬間のはじける笑顔。僕は、彼女に会いたいと思った。ヘルメットをかぶったあなたに会いたい、と猛烈に思った。鴻上尚史、初の小説。

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