宇江佐真理

夕映え

幕末・江戸の本所に、「福助」というおでんが評判の縄暖簾の見世があった。女将のおあきは、父親の跡を継いで、十六になる娘のおていとともに、見世を切り守りしていた。亭主の弘蔵は、松前藩の元武士で、町の人々から頼りにされている岡っぴき。夫婦の心配の種は、職を転々として落ち着かない長男の良助のこと。江戸から明治に代わる時代の大きな潮流に、つつましく幸せな暮しをしていた、おあきたち市井の人々も、いやおうなく巻き込まれていく...。

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