野中柊
このベッドのうえ (集英社文庫)
彼女のひんやりと冷たい手の感触を、僕は今も忘れられずにいる。彼女が僕の姉の恋人を奪い、結婚してしまった今でも―(「余音」)。従姉の亜由美ちゃんが私に残してくれた真鍮のベッド。彼女と戯れ裸さえ見せ合ったこのベッドのうえで、私はいま、恋人に抱かれている(表題作)。眩暈がするほど幸福で、胸がつぶれるくらい切ない。ままならない恋に翻弄され、懸命になる男女の姿を描いた全8話。
彼女のひんやりと冷たい手の感触を、僕は今も忘れられずにいる。彼女が僕の姉の恋人を奪い、結婚してしまった今でも―(「余音」)。従姉の亜由美ちゃんが私に残してくれた真鍮のベッド。彼女と戯れ裸さえ見せ合ったこのベッドのうえで、私はいま、恋人に抱かれている(表題作)。眩暈がするほど幸福で、胸がつぶれるくらい切ない。ままならない恋に翻弄され、懸命になる男女の姿を描いた全8話。