早瀬乱
サトシ・マイナス (ミステリ・フロンティア)
気弱な大学生・稲村サトシは、吉沢カレンとの結婚を報告しようと、自宅で母を待っていた。とはいえ勝気で我侭な母が、偏屈なカレンを快く思うはずがない。どう切り出すか悩むうちになぜか眠ってしまった彼は、隠れていたはずのもう一つの人格「サトシ・プラス」がその間に目覚めて、何事か目論んでいることに気づく。少年時代のサトシをプラスとマイナスに分けた、二十五項目にわたる人格分割リストを回収するため、古書店の駐車場で暮らす友人・オカベのもとを訪れるサトシだが...。欠落した記憶、絵描きだった父の死、全ての鍵を握る「ある人物」―自らの過去を辿りなおす、多重人格者サトシのおかしな探偵行のゆくえは?江戸川乱歩賞受賞の気鋭が贈る、明るく爽やかな“多重人格”成長小説登場。