芦原すなお
雨鶏
山越只明は田舎から上京してきて、大学の独文科―というよりもっぱら居酒屋に通い、文学―というよりもっぱら麻雀を学んでいる。折りしも時は1960年代、学生運動のまっただなかで、他の学生たちはストだ、反戦だ、自己批判だのと、やかましい。周りのことはおかまいなし、毎日楽しく暮らせればいいではないかと山越君は思っているけれど、それはそれで大変なのだ。恋だってあれば、変なアルバイトもあり、偏屈な教授の相手も、親友との突然の別れもあり...。直木賞受賞作『青春デンデケデケデケ』の続編とも言える、大らかなやさしさに満ちた、のんびり、ほんわか、ゆるゆる青春小説。