青山光二

吾妹子哀し (新潮文庫)

杏子に銃口を向けるものがあれば、お前はそれを遮って立てるかと、その折々に杉は自分自身に問いかけたものだった。今また杉は銃口の前に立っている。銃にこめられた弾丸はアルツハイマー型痴呆症だ。―下駄箱に並んだ化粧品、食品棚に詰めこまれた靴やスリッパ、床に落ちた排泄物、徘徊...。哀しくもときにユーモラスな介護生活に、若き日の熱烈な恋愛の記憶が輝きをもって立ち現れる。「究極の恋愛のかたち」と、選考委員各氏の絶賛をあびた川端賞受賞作と続編を収録。

杏子に銃口を向けるものがあれば、お前はそれを遮って立てるかと、その折々に杉は自分自身に問いかけたものだった。今また杉は銃口の前に立っている。銃にこめられた弾丸はアルツハイマー型痴呆症だ。―下駄箱に並んだ化粧品、食品棚に詰めこまれた靴やスリッパ、床に落ちた排泄物、徘徊...。哀しくもときにユーモラスな介護生活に、若き日の熱烈な恋愛の記憶が輝きをもって立ち現れる。「究極の恋愛のかたち」と、選考委員各氏の絶賛をあびた川端賞受賞作と続編を収録。

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