高木貞治
数学の自由性 (ちくま学芸文庫)
和算から洋算へ、時の明治政府は大きく舵を切る。高木貞治はまさにその時代に生まれた。帝国大学数学専攻の同学年生はわずか3人。将来を嘱望されるなか、ヒルベルトのもとへのドイツ留学を経て、相対アーベル体論としての類体論を構築した世界的数学者は、若い数学者を次々と育てるとともに、学生や向学心に燃える人々に数学の魅力を語った。その語り口には巧まぬユーモアがにじみ出ていた。本書は60年ぶりに復刊となる同名エッセイ集を中心に、「過渡期の数学」「訓練上数学の価値」や「一数学者の回想」など、大数学者の人となりをうかがわせる作品を集めた。文庫オリジナル。