明川哲也
世界の果てに生まれる光
「ジョンを背負って7000メートル」12月9日。構成作家のボクは、ジョン・レノン追悼番組で使った彼の巨大な写真パネルを、たった一人で六本木から新宿ゴールデン街の店まで約7キロも歩いて運ぶことにした。「ナッツ」仕事もお金もすべて失った中年男・里村のもとに、かつて自分の店に出入りしていたデリヘル嬢の奈々が訪ねてきた。奈々は癌にかかって死にかかっているハムスターを里村に預けにきたのだ。「プリズムの記憶」ライターの洋介とフォトグラファーの麻里は、雑誌の仕事を通して出会い、やがて深い関係になった。そんなある日、洋介は玉川の多摩水道橋で待ち合わせをしたが、麻里は現れなかった...。喪失の悼みを抱え、もがき苦しむ人間を優しく包みこむ、静かな救済の物語。