うぐはら 林民夫 糸 (幻冬舎文庫) あらすじを読む 北海道で生まれ育った高橋漣は、花火大会で出会った園田葵に一目惚れ。彼女が義父から虐待されていることを知るが、まだ中学生の漣には何もできなかった。それから八年。漣は地元のチーズ工房で働き、葵は東京にいた。 遠い空の下、互いを思いながらも、すれ違いと別れを繰り返す二人。それぞれの人生を歩んできた男女が、再び巡り逢うまでの物語。 中島みゆき 糸 昭和が終わり、平成が始まったとき、私はこの世にいなかった。 時代は進化を続けた。繋がりを求める人々で溢れかえった街は、どこか空虚だ。 時代に関係なく人は命を落とす。意思は生者に受け継がれ、新たな命を紡いでゆく。 この紡がれた縁こそが糸だ。 細くて白く、頼りない糸を手繰り寄せる行為。 手繰り寄せるものと掴んだもの、双方の根気が問われる。 この世界は、絶望で満たされているのではない。必要でないもので溢れかえっているだけだ。目を凝らして選び取ってゆけば、必ず答えに結び付く。 2 0 0件のコメント 送信 シェア