井上靖

愛 (角川文庫 緑 216-13)

若くして妻を亡くし、再婚の話を持ちかけられても首を縦に振らない春吉。亡き妻に対する穏やかな、しかし深い愛情。夫婦の可笑しい小さな旅の想い出を、ひんやりとした気持ちでたどってゆく―(「結婚記念日」)。人生のある一瞬の愛がもたらす、大きな意味。ごく平凡な三組の男女のささいな出来事を通して、それぞれの愛のかたちを描く。無駄を削がれた美麗な文章と心理ドラマの妙に心打たれる、井上靖の傑作短篇。

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