小手鞠るい

別れのあと

嫉妬に身を焼く夫のあやつり人形として生きた私。愛にも似て濃密な情欲と束縛に従う日々、それは静かに育っていた(「別れのあと」)。男は亡き妻への、女は亡き子への追憶を胸に隠し欲望に身を委ねる(「静かな湖畔の森の影」)。失意のピアノ教師の心を乱す盲目の少年が奏でる音色(「はなむけの言葉」)ほか、愛のために血を流し、なお愛を信じ続ける人々の運命を描く短篇恋愛小説集。

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