俵万智

花束のように抱かれてみたく (角川文庫)

花は、自分が一番美しく見える季節を知っているかのようだ。桜の花も、真夏の太陽の下では、寝ぼけた色にしか、見えないだろう。春のけだるく霞んだ空気のなかで、桜はその狂おしい美しさを発揮する。憂いを含んだ紫陽花は、雨の季節に。元気いっぱいの菜の花は、早春に。もっと元気な向日葵は、くっきりとした夏の光のなかに―。四季の花を、歌と写真で詠いあげる、鮮やかな写真歌文集。366日の花言葉つき。

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