藤沢周

界 (文春文庫)

妻子と別居中の榊は、恋人を東京に残したまま、地霊うごめく土地を遍歴する。秋田の娼家と清廉な女子高生たち、厳冬の佐渡で理容店の女主人が持つ剃刀、三河八橋で一夜を共にした人妻の乳房、非在ゆえに一層ふくらむ女たちの気配―官能と死のあわいから異界が立ち現われる瞬間を描く、藤沢周の本格小説集。

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