早見和真
神さまたちのいた街で
泣くもんか。 無力な子どもでいる時期なんて、 たった数年なんだから。 ぼくは、ぼくだけの「正義」を頼りに生きていく。 たった一人の親友と、小さな妹と。 あの頃の“痛み”がよみがえる成長の物語 「ぼくだけはしっかりしていなければ」 父が交通事故に巻き込まれたことをきっかけに、 父と母は違う神さまを信じはじめ、ぼくの家族には“当たり前”がなくなった。 ぼくは担任の先生に助けを求めたが、どうやら先生にも自分の正義があるらしい。 大人たちが信じられなくなったいま、 ぼくの「正しい」の基準は、親友の龍之介だけ。 妹のミッコを守ることでなんとか心のバランスを取りながら、 ぼくは自分の武器を探すことにした。 いつか、後悔だらけの大人にならないために――。 あの頃の“痛み”がよみがえる成長の物語。 『ぼくたちの家族』から6年。次の家族のストーリー。