大倉崇裕

凍雨

凍雨―。降られると、雪より辛い、冷たい雨。地元のタクシー運転手の声が、深江の脳裡にこだまする。標高一九二二メートル。福島県北部に位置する単独峰、嶺雲岳。この山を久しぶりに訪れた深江信二郎は、亡き親友植村の妻真弓と、遺児佳子の姿を垣間見る。一方、無頼の男たちを束ねる遠藤達也も入山。彼らを追う中国人組織も現れ、激烈な銃撃戦が開始された。深江と母娘は、その争いに巻き込まれてしまう。山が血で染まっていく...。奴らの正体は?深江と母娘の過去の因縁とは?気鋭が冒険小説に新境地を拓いた、傑作長篇。

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