荒川洋治

空中の茱萸

かつて「若い現代詩の暗喩の意味を変えた」という吉本隆明氏の歴史的讃辞をほしいままにした詩人は、いま「修辞的現在」から脱却して、「詩の現在」そのものを根本から改訂しつつある。高見順賞『渡世』以来3年、全身を投入した16の詩篇が、詩の「社会復帰」を見事に現実と化す。

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