沖田正午

赤毛侍幻九郎 (ベスト時代文庫)

ある秋の日暮れ、北町奉行・宗岡安芸守景勝の私邸前に立ち尽くす若侍。肌は雪のように白く、うしろに垂らす馬の尻尾のような赤い髪。彫りの深い端整な顔に、青い光を放つ双眸。異相の男が門番に名乗った。「拙者、宗岡景九郎と申しまする...」じつは景九郎は、景勝が長崎奉行時代に阿蘭陀商館の娘との間にもうけたご落胤。だが、父と名乗れぬ景勝に門前払いを食ったうえ、名を語ることも禁じられた景九郎は、途方に暮れて転がり込んだ小柳町の旅篭大倉屋に「赤尾幻九郎」と名を変えて逗留することになった。父子と口には出来ぬが、いつでも対面がかなうよう、奉行所の悪党退治の助太刀を命じられた幻九郎。赤毛侍の活躍が始まった!

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