葉室麟

雨と詩人と落花と (徳間文庫)

天領の豊後日田、私塾・咸宜園の塾主である広瀬旭荘は二度目の妻・松子を迎えた。剛直で激情にかられ、暴力をふるうこともある旭荘。だが、心優しき詩人である彼の本質を松子は理解し、支え続けた。しかし、江戸で松子は病魔に倒れる。時は大塩平八郎の決起など、各地が騒然としている激動期。儒者として漢詩人として、そして夫としてどう生きるべきか。旭荘は逡巡し、ある決断を下す。江戸末期、時代の奔流に生きた至高の夫婦愛。

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