松谷みよ子
俊寛 (日本の物語絵本)
平清盛にむほんをくわだてた罪で、あれはてた孤島に流された俊寛は、やがておとずれた赦免の船にものれず、たったひとり、島に残されてしまいます。美しくも悲しい武将たちのエピソードが数多く描かれる『平家物語』の中にあって武将ではないのに巻三に登場する僧俊寛のエピソード。はなやかな都から罪人として孤島へ送られ、恩赦にも見はなされ、ただ一人島に残されたまま死んでいく男の哀切さは『平家物語』のテーマである「盛者必衰のことわり」を示すばかりか権力者の非情ぶりまでも鮮やかに象徴させています。