片山恭一
愛について、なお語るべきこと (下) (小学館文庫)
最後に見たものは、希望か、絶望か。 山中で老人とともに熊を追っていたオサムは、老人が命を落とす瞬間を目の当たりにする。その後、老人の知り合いである鍛冶屋を頼り、ギギとともに「耕す人」の村で生活をするオサムだったが、あることを契機に鍛冶屋に殺意を抱き、元の棲家である都市部のビルの廃墟に戻る決意をする。 一方、タイで息子の消息を追っていた小説家の辻村は、思わぬ成り行きから、突如ラオス国境の山村に帰ってしまった謎の美女・ウァンを追って、日本人カメラマン・川那部と彼の地へ向かう。そして、事態は思わぬ方向へ急変する。