池澤夏樹
すばらしい新世界 (中公文庫)
もう神様はいらない。なぜならば人間は自ら神様になってしまったから。 大企業の技術系サラリーマンである林太郎は、ヒマラヤの山奥で活動するNGOからの依頼で小型風車の開発に関わることになる。現地を訪れた林太郎は、秘境に生きる人々の暮らしや信仰に触れ、現代の日本の暮らしの中で失われたものについて考えるようになる。環境問題に関わる活動をしている妻のアユミと林太郎の会話は、エネルギー問題やひとと環境の関わりについての深い議論となっている。 やがて息子と共に秘境の村を再訪した林太郎は、そこで秘密の任務を担うことになる。 【目次】 沖縄へ行こう 日常生活の原理 社内の雰囲気 遠い異国 ナムリンの入り口で 偉人の肖像 北への旅路 信仰の問題 現地での作業 昼の夢 夜の夢 家庭と職場 風車を立てる 初等理科教育 我が友ブチュン 森介の冒険 ジャーナリスト 首都への旅 秘密の使命 雪原の風車