堂場瞬一

動乱の刑事

大義か、道義か。刑事と公安、親友同士のふたりの警官。使命の違いは、守るべきものを曇らせる。一九五二年、サンフランシスコ講和条約発効直前。東京都内の駐在所が爆破される。死者は二名。ひとりは駐在巡査、もうひとりの身元は不明。刑事の高峰は、共産党過激派の関与を睨むが、秘密主義の公安から情報が流れず、捜査は難航。高峰は、親友で公安に所属する海老沢に協力を仰ぎ、共同戦線を張って真相に近づこうとする。だが、あくまで個人への犯罪として捜査する「捜査一課」に対し、事件を利用し過激派の瓦解を目論む「公安一課」という相反する立場が、ふたりの関係に影を落とす。時代の乱れが、警察という「組織」の矛盾を生み出していく。戦後警察の光と闇を炙り出す一大叙事詩、待望の第二幕!

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