香山美子

シュリーマン (絵本版 こども伝記ものがたり)

子どものとき、心動かされた本が、人生にどれほど大きな力を持つか、それを教えてくれたのが、ハインリヒ・シュリーマンです。父からもらった一冊の本によって古代への夢をかきたてられ、生涯をかけてそれを追い求め、ついにはみずからの手で、すばらしい遺跡を掘り出すことになったのですから。この伝記物語は、発掘のための苦労話を書いたものではなく、子どもの頃の夢を育てあげた努力の物語です。シュリーマンは伝記を通じて、過去の時代への思いを、ほんとうに豊かに持っていました。そして自分の夢を、自分の努力で育て、実現していったところに、彼の偉大さがあります。

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