飛浩隆

自生の夢

飛浩隆(『象られた力』で第26回日本SF大賞受賞)が贈る、現代SFの最先端。本作で第41回星雲賞日本短編部門を受賞。 SF界屈指の翻訳者/書評家・大森望の責任編集でお届けするオリジナル日本SFアンソロジー『NOVA1』(全11編)の分冊版。「自生の夢」(解説:大森望)に併せて、「序」(大森望)収録。 【作品冒頭】 1 〈わたし〉は映画を観ている。 さむざむしい異国の田舎道。 未舗装の道を一台のトラックが通って、スペイン、カスティリア地方の山村へ入っていく。一九四〇年代。画面右に掲げられた標識はHOYUELOS と読め、これがその村の名前であるらしい。村の子供が駆けつけ大騒ぎをはじめる。帽子をかむった男たちが荷台の扉を開けると、子供たちは「映画の缶詰めだ!」と歓声を上げる。フィルム缶。男たちは巡回上映を商売にしているのだ。 「どんな映画?」「カウボーイ?」 男たちが答える。 「凄い映画だ」 「今までで一番凄い映画だ」 子供たちの目がひるみ、そして輝く。

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