山崎永幸

共犯者 (新潮クライムファイル)

埼玉愛犬家連続殺人事件。犯人がなかなか挙がらなかったことには、深いワケがある。死体が絶対に現れない方法をあの男があみ出したからだ。俺は雨の音が何よりも嫌いだ。連想させるのだ、人肉に降りかかるシャワーを。眼前から消えないのだ、あの生涯最悪の光景が。「人間の死は生まれた時から決まっているわけじゃない」あの男はそう言った。「そいつは俺が決める。俺が今日死ぬと言えばそいつは今日死ぬんだ」俺は震えあがった。が、逃げれば消される。そう、細かい肉片にされて文字どおり消されるのだ。一体どうしたらいい。

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