小笠原洋子

フリードリヒへの旅 (角川叢書)

風景を素材とした内省的で静謐な崇高の美を謳う、ドイツ・ロマン主義の画家フリードリヒの絵画。独特の宗教観と世界観が表出されるこれらの作品群を文字どおり訪ね歩き、画家の足跡を追いつつ、モチーフとなった現場に立ち、鑑賞者としての感動と重なり合う共感をもとにその崇高の美に寄り添い、みずからの感性をよりどころとして、その高い芸術性を言葉を尽くして描き出す。一九世紀前半の激動の時代を生きたフリードリヒの絵画にひたすら向き合うことで、画家の生涯と絵画の深い精神性に迫る、渾身の美術評論。

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