古谷経衡
愛国奴
「ちょっと右寄りでオタク青年」という出自をもつ主人公、南部照一。 ネットで知り合った友人の手引きで「保守ムラ」の狭い論壇に出入りするようになる。 当初は右も左もわからぬ照一であったが、某警備会社が主催する懸賞論文での入選を機に、 CS放送局を運営する「保守ムラ」のドン・杉坂義男にスカウトされてキャリアを形成していくうち、 いつしか照一自身も保守業界の病弊に蝕まれていくのであった。 そのような中、保守論壇をリードする波多野譲と土井賢治の二人の若手言論人が、 出演する保守系CS放送の番組放送枠をめぐり対立を始める。 その結果、血で血を洗う骨肉の「保守内戦」が勃発……。 そこから物語は急展開を見せていくことになる。 保守ムラの住人たちはどうなっていくのか。 愛国を掲げてカネ、利権、憎悪、嫉妬、報復、狂気が蠢く世界を描いた、 著者初めての渾身の長編書下ろし小説500枚。