いしいしんじ

その場小説

京都の書店では一冊の本が全裸の女に変わり男と交歓し、東京のお寺ではビルマのジャングルに飛んだ男がトラを見て小便を漏らす。香川の豊島ではじいさんが指でキスを釣り、大分のストリップ劇場では湯の中に男も女も生も死も溶けていく―。豊かで深い空間と時間が立ち上がり、胸の底で眠っていた魂が踊り出す。北海道、長野、茨城、東京、京都、熊本、福岡、大分、沖縄―。出会った人々、空気、時間に任せ、うねり弾む文体で紡がれた特別な小説。

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