澤田瞳子
名残の花
かつて蘭学や歌舞音曲を弾圧して「妖怪」と嫌われた奉行・鳥居胖庵。幽閉二十三年の末に彼が目にした江戸は「東京」へと変貌していた。西洋文化を拒む胖庵は若い能役者と出会う。能楽もまた明治に没落の道を歩んでいた――おかしな二人が遭遇するささやかな事件と謎。世に翻弄されても懸命に生きる人々を哀歓込めて描く正統派時代小説。
かつて蘭学や歌舞音曲を弾圧して「妖怪」と嫌われた奉行・鳥居胖庵。幽閉二十三年の末に彼が目にした江戸は「東京」へと変貌していた。西洋文化を拒む胖庵は若い能役者と出会う。能楽もまた明治に没落の道を歩んでいた――おかしな二人が遭遇するささやかな事件と謎。世に翻弄されても懸命に生きる人々を哀歓込めて描く正統派時代小説。