新井恵雄

ハイデッガー (Century Books―人と思想)

「人と思想」は、世界の思想家の生涯とその思想を、当時の社会的背景にふれながら、立体的に解明した思想の入門書です。思想家の生涯を交友関係や、エピソードなどにもふれて、興味深く克明に記述、その主要著書を選択して、概説とその中心となる思想を、わかりやすく紹介してあります。平易な記述と生き生きとした表現を心がけ、新鮮な印象が残るように努めました。一般の方々のハンディな教養書として、また学生・生徒の参考読物として、広く本書をおすすめします。 【Century Books】人と思想 35 ハイデッガー 第一次世界大戦 ― それは西洋の没落を人々に意識させたエポック・メーキングなできごとであった。 大戦後、人々が不安と危機意識におびえているさなかに登場したハイデッガーは、人々の間に深い感動を巻きおこした。その著『存在と時間』は、人間を実存の根底から見返しつつ現代と対決した実存主義の金字塔である。以来、ハイデッガーは、神秘的な存在の思想へと思索を深めながらも、一貫して歴史や文化と対決し、現代を越え行く道を探し求めた。 科学技術の支配のもとで、故郷を喪失し自分自身を見失っている私達に、ハイデッガーは故郷へ帰る道を指し示そうとするのである。

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