藤谷治

我が異邦

地下鉄に毒ガスが撤かれた1995年3月、わたしはアメリカへ発った。明るく巨大なアメリカで、私は孤独を満喫した。一生このままでいられるなら、どんなに幸福だろうとさえ思った。ただ、孤独であることの僥倖とは別に、そこには「女」が絶対的に欠けていた―。孤独を愛する男を描く表題作の他、「ふける」「日本私昔話よりじいさんと神託」を収録。

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