川上弘美

ハヅキさんのこと (講談社文庫)

かりん、という琺瑯の響き。温泉につかったあと、すっぴん風に描く眉。立ち飲みで味わう「今日のサービス珈琲」。四十八歳、既婚者で「中途半端」な私が夢中になった深い愛―さりげない日常、男と女の心のふれあいやすれ違いなど、著者独自の空気が穏やかに立ち上がる。虚と実のあわいを描いた掌篇小説集。

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