内田洋子

イタリアのしっぽ

ペットを飼う人は、何かしらの事情を抱えているものだ。息子が連れてきた捨て犬のおかげで、孤高の彫刻家は心の溝を埋める。都会から離脱した映画監督は、サルデーニャ島でタコと出会う。寒村の初恋は、ペガサスのように山を駆った馬により実る。著者自身、飼い犬と歩き嗅ぎ付けたイタリアの悲喜こもごもがある。ペットと飼い主は、互いを映し合う鏡だ。密やかで切なく、愛おしいエッセイ15編。

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