いつも束の間の逢瀬しかできない2人。年末の一日、初めて過ごした2人だけの長い時間。鍋を準備して、「おかえり」「ただいま」と言い合って(「冬一日」)。ショウコさんと旅に出る。電話の最中に「なんかやんなっちゃった」と声が揃ってしまったのだ(「春の虫」)。いつか別れる私たちのこの一瞬をいとおしむ短篇集。

「西暦三千年一月一日のわたしたちへ」と書かれた序文から、手紙は未来を描いているのだと見当がつく。

郷愁と物悲しさ、そして「あなた」に向けた慈愛の気持ち。
この感情を忘れたくない。
今も、そしてこれからの時代も。
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その本に音楽をならそう。
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