貧しく孤独な少年ジョバンニが、親友カムパネルラと銀河鉄道に乗って美しく悲しい夜空の旅をする、永遠の未完成の傑作である表題作や、「よだかの星」「オツベルと象」「セロ弾きのゴーシュ」など、イーハトーヴォの切なく多彩な世界に、「北守将軍と三人兄弟の医者」「饑餓陣営」「ビジテリアン大祭」を加えた14編を収録。賢治童話の豊饒な味わいをあますところなく披露する。

「銀河鉄道の夜」という物語は、幻想的な美しさ故に、その世界に存在する底知れぬ哀しみや淋しさが際立つ作品だと私は思っています。溝口肇氏のINFINITY~夢の引力~はまさに「銀河鉄道の夜」の世界を再現しているようです。夢を見ているようなふわふわとした感覚の中にある、手の届かない淋しさや哀しさが、この曲を聴き終えた後、そして「銀河鉄道の夜」を読み終えた後に、全ての人を取り巻くでしょう。私はこの曲を、もういない、カムパネルラという名の少年に捧げます。
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