世界は驚きと歓びに満ちていると、博士はたった一つの数式で示した―記憶力を失った天才数学者、と私、阪神タイガースファンの10歳の息子。せつなくて、知的な至高のラブ・ストーリー。著者最高傑作。

私は、ルートのように深く考える知恵のある子どもになりたかった。他人を思いやれる人間になりたかったのだ。

博士が編む数式の美は、一生消えない。記憶が失せても、愛が消えることはない。

時という残酷な生き物に、紡いだ数式ごと無惨に踏みつけられてもだ。
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