ぼくらを襲った事件はテレビのニュースよりもっとずっとどうしようもなくひどかった―。ある日、学校で起きた陰惨な事件。ぼくの幼なじみ、ふみちゃんはショックのあまり心を閉ざし、言葉を失った。彼女のため、犯人に対してぼくだけにできることがある。チャンスは本当に一度だけ。これはぼくの闘いだ。

一度きりの魔法は声のことで、
姫様はふみちゃんだ。彼女を救えたなら。
ぼくの覚悟は、大人の私たちでも躊躇うものだっただろう。

彼に魔法を授けた魔女は先生だ。
呪い(まじない)はのろいとも読める。かける相手次第では、効果が変わってしまう。

『誰かを救うことが出来るけれど
魔法が解けたその時には
誰もあなたのことを思い出せない』

『それでもいいから』
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